書籍文献 4

A TAXONOMICAL STUDY OF THE GENUS APISTOGRAMMA REGAN, WITH A REVISION OF BRAZILIAN AND PERUVIAN SPECIES (TELEOSTEI: PERCOIDEI: CICHLIDAE)
S.O.KULLANDER. 1980.
BONNER ZOOLOGISCHE MONOGRAPHIEN, Nr.14 BONN

アピストグラムマを学術的に正しく知りたいならば、必ず読まなければならない論文。
この書籍を参考にせずして、アピストの事は一切語れない。それほど重要であり、読むことが当然の論文である。もし、この文献を読まずにアピストの分類を語る者がいれば、それは単なる張ったり屋か嘘つきである。

以前、この文献を参考文献として挙げながら、内容を全く理解せず、誤りを堂々とアクアライフに書いていた森文俊(現ピーシーズ)などもいたようだ。洋書や論文を参考図書として挙げて読者に信用させ、適当な事を書き散らす輩は、昔からいたが、近頃は益々ひどくなっているようである。

アピストグラムマの分類の歴史、詳しいシノニムリスト、外部形態の解説、それを基にしたブラジルとペルーに生息する18種類のアピストの詳しい解説がされている。写真は白黒で、出来は極端に悪い。クランダーはほんとに写真が下手である。何とかして欲しい。

一時は、日本にも出回っていた文献であるので、持っているアマチュアもいるかもしれない。是非、読んで欲しい。

IOPニュース
伊豆海洋公園通信、益田海洋プロダクション

海水魚の好きな人、海洋生物の好きな人なら、ぜひ読んでいただきたい小冊子である。
わずか8ページの内容だが、オリジナルデータによる生物の記載が中心である。

従って、文献としての価値を持つ。文献を読む機会の少ないアマチュアにとっても勉強になる一冊である。筆者は、ほとんどが研究者であるので、内容はしっかりしており、信用に足る。カラー写真を多用し、生時の写真と、標本写真を共に載せてあるので、比較をするのにも便利である。

生物の記載は、過去には、色彩のない標本で行うのが一般的であったが、現在では生時の色彩も重要な情報であると認識され、カラー写真による記載がより多く行われるようになっている。
その意味でも、生体写真を常に掲載している本誌の試みは、新しい。

また、ニュースの名称のごとく、最新の情報を提供しており、他の研究誌や単行本と比較して、いち早く情報を入手することができる。

月刊で1冊¥322 は有り難い。年間購読料は、送料消費税込みで¥3864 。
連絡先 0557-51-1129 益田海洋プロダクションまで。
既に10年以上の歴史があり、全てではないが、バックナンバーの用意もある。

動物と動物園
(財)東京動物園協会 東京 34pp.

この雑誌は、「東京動物園友の会」の機関誌である。市販はしていない。購入には友の会会員になる必要があるが、購読料が会費である。

優しい印象の表紙からは、この雑誌の本当の意味を理解することは出来ないかもしれない。なぜなら、この中に書かれている内容は、動物園や水族館、インセクタリュウームで日常に起きている事柄について、そこで働く職員が、実際観察し研究した内容が書かれているからである。
要するに、アクアリューム雑誌などのような解説書ではない。レポートであり、簡単な研究論文なのである。アマチュアが入手できる情報としては、少し異色な雑誌である。もちろん解説もあるので、知識を入れるにも良い。

本来、アクアリューム雑誌や飼育書に書かれる内容は、このような研究論文やレポートを基礎に書かれていなくてはならない。科学的実験や観察を通して初めて、その生物に関する正確な記述や解説が可能となるからである。
しかし残念なことに、日本でアマチュアが手に出来る情報というのは、このような科学的実験や観察を基礎にしていない。要するにほとんどが実体のない、思いつきの感想文のような物をまとめただけの物がほとんどである。

少なくともマニアを自負する者なら、根拠のないアクアリューム雑誌や飼育解説書などを当てにするのでなく、この雑誌のような、レポートや論文のたぐいを情報として吸収し、自分の生物飼育の参考にする必要があるだろう。

ただし、これを難無くこなすには、やはり多少の努力が必要となる。そのような努力の上に自分自身の飼育技術の向上にあたるアマチュアに、いまだ出会ったことがない。
その点で、この雑誌は、研究を知る者がアマチュア向けに提供した、数少ない会誌といえる。
購読希望者の連絡先、03−3828−8235(月休)会費年間¥3700。

水草研究会会報
水草研究会、神戸大学国際文化学部生物学教室 角野研内。

おそらく日本で唯一の水草専門の研究会誌である。
水草と言っても、水辺や湿地帯に生育する植物全体を研究材料として扱っている。日本での話題が中心だが、過去にはブラジルの水草についての報告もある。

アマチュアを対象とした解説書ではなく、報告書、論文集である。掲載は研究者だけでなくアマチュアでも構わないが、研究レポートや論文が書けないと投稿しても意味はない。同様に、読者にもそれなりのレヴェルが要求される。

こういう事実を積み重ねてようやく、水草についての色々が理解され、知られるようになるのであるが、アクアリューム業界での情報の質と比較して、いや、比較になるまい。
アクアリューム雑誌に色々解ったようなことを書いている筆者の方々は、ぜひ、こういった研究誌を勉強し、よりまともな記事が書けるようになってもらいたいと思う。

入会、問い合わせは事務局まで。
神戸大学国際文化学部生物学教室 角野研内 水草研究会
〒657−8501 神戸市灘区鶴甲1−2−1
Tel & Fax 078-803-5719
E-mail:kadono@kobe-u.ac.jp

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